退院してから1週間が経過し、食事も抗がん剤を始める前と同じ分量とまではいきませんが、ある程度の量が食べられるようになりました。相変わらず、動くとすぐに息切れしますが、それでも休憩せずに歩ける距離は退院直後に比べると少しずつ伸びていきました。
そして、ついにAP療法で一番の副作用と言っていいアレの兆候が見え始めました。
そうです。脱毛です。退院後1週間経過(土曜日)の段階では頭髪の抜け毛はありませんでしたが、髪を洗っているときに髪のコシ(?)が明らかに無くなっているのを感じました。2月の下旬に髪をブリーチして金髪にしていたので、そもそも髪の毛は細くなっていましたが、それでも明らかに今までとは異なり、髪の毛がただ頭皮にのっかているだけのような感じがしました。頭髪はまだ抜け始めていない一方で、陰毛に関しては普段の100倍くらい抜けました。というより、触るたびに抜けていくという感じでした。最初は「無料の脱毛じゃん！」と思いましたが、際限なく抜けるのが怖くなり、触れるのをやめました。頭髪も同じように際限なくボロボロと抜けるんだろうか、、、と思いながら、来週の金曜日に控えた卒業式に向けて、卒業式まではなんとか髪の毛さん耐えてほしい！とただひたすら願うことにしました。
土曜日に頭髪の異変を感じてからは、髪を洗う際はあまり力を入れないように、とにかく卒業式までもつことだけを意識しました。また、外を歩く際に、髪の毛に風が当たると頭皮が痛いと感じるようになりました。風が当たるだけで髪の毛が強く引っ張られているような感覚です。このことからも髪が弱くなっているんだな、抜けかかっているんだなと感じました。
そして月曜日、普段より頭髪が多く抜けました。髪の毛を洗うと泡立たずに手に違和感を感じたので見てみると、髪の毛だらけでした。前述した通り金髪なので手を見た時、手と髪の色が同化していたのでなんとか耐えることができましたが、髪色が黒色のままであれば抜けた髪の多さに吐き気を催したと思います。また、陰毛の抜ける量をみるに今後数日で頭髪も一気に抜けることも考えられたので、万が一のことも考え、Amazonでカツラを購入しました。陰毛に関しては土曜から引き続き、触れるたびどんどんと抜けるので、いっそのことと思い、全部引っ張って抜いてしまいました。卒業式まであと4日。。。
火曜日、髪の毛の抜ける量が一気に増えました。排水溝が髪の毛で詰まりそうになるくらいに。髪を洗うと手が抜けた髪でいっぱいになり、シャワーで流すと次から次へと新しい髪が抜けていく。恐怖でした。卒業式がなければもう坊主にしていたと思います。それくらい、大量の髪の毛が永遠と抜け続けるのが精神的に苦痛でした。また、髪を切ってからしばらく経っていたので、卒業式に向けて髪を切りたいと思いました。ですが、触るだけで髪の毛が抜けるこの状態、美容院でシャンプーをやってもらおうものなら髪がどんどんと抜けてしまいます。しかし、大学の卒業式、整えた自分の髪の毛で参加したい。明日、思い切って美容院に行くことにしました。
水曜日、美容院に行くにあたりいくつか問題点がありました。1つはシャンプーをできればしたくないこと、そしてもう1つ、手櫛でさえ髪が抜ける状態でしたので、髪を切る際にできるだけ髪に触れてほしくないこと。この2つを解決する必要がありました。そこで悩んだ末、美容師さんに癌であることを告白し、無理なお願いであることを断った上でなるべく髪の毛に触れないように散髪してもらうことにしました。大学に入学してから4年間通っていた美容師さんだったこともあり、快く承諾していただきました。そして無事散髪を終えることができました。
木曜日、相変わらずお風呂では髪の毛がどんどんと抜けていましたが、なんとか明日の卒業式に行ける状態の見た目を維持することができました。しかし、髪をかき分け頭皮をよく見てみると、明らかに髪の密度が減っていました。この日のドライヤーでは数百本単位で髪の毛が抜け、髪で球体が作れるほどでした。しかし、なんとか地毛で卒業式に行けることがとても幸せでした。
卒業式を含む1週間は基本的に普通の食事が取れていたことと、卒業式でなんだかんだ歩くことになるだろうと思っていたので、体力を少しでも戻そうと日中は3〜4kmほど歩いていました。また、体力面と脱毛以外の副作用に関しては強く気になることはありませんでした。正直、患部の痛みや、肺が痛いことなど些細なことで気になることはたくさんありました。しかしそれは、初めての抗がん剤で不安でいっぱいであることや、癌の進行や転移への不安が些細な体調変化を勝手に悪い方向へと結びつけていると思い、毎日続くような大きな変化では無い限り目をつむることにしました。
長くなりそうなので今日はここまでにします。次回は運命の卒業式編です。
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