2022年11月中旬に抗がん剤治療は一通り終了し、ブログの投稿を再開しようと思っていましたが、この数ヶ月間色々と思い悩むことがあり、投稿が遅れてしまいました。治療終了から今日までにあったことをまとめたいと思います。
この数ヶ月間に起こったことの要約
治療終了後もたくさんの悩みを抱えた中、同期と食事をし話をする中で、4月から大学院に復帰することが自分にとって最善の選択か悩むようになった。そして、自分自身と向き合い、家族や教授と相談した結果、4月からもう1年休学することにしました。
今日までの気持ちの移り変わり
東北大同期との再会
治療終了直後は抗がん剤の副作用による免疫低下もあったため、実家で安静にしていました。抗がん剤終了後から約3週間後、体調もだいぶ回復したので仙台に戻り、大学の同期4人と食事に行きました。
大学院に進んだ人、就職した人、そんな同期と話を進めていくうちに、たくさんのことを感じました。そして思いました。「自分、卒業式から一歩も進んでない。」長い人生から見れば1年なんて大したことないかもしれません。しかし、就職して色々な経験を積んだ子や、大学院で研究を続け3月からの就活に向けて一生懸命に取り組んでいる子を目の当たりにすると、自分はこの1年の休学中に何かレベルアップしたのだろうかと不安に感じました。
休学中の1年何か成長しただろうか
確かに、私にとっては抗がん剤治療という大事な大事な1年でした。しかし、小中高大⇨就職という多くの人が通るであろう道(レール)から外れた時、私は心のどこかで「何て楽な1年なんだ」と感じたことも事実です。がん治療は辛いです。健康なまま勉学⇨就職のレールに乗ることが理想です。ですが、今まで小中高と「将来のために勉強第一」と周りから散々言われ大学まで進んだことは事実ですし、心のどこかで反発しながらも、勉強をしていい大学・企業に進むことが正しい道だと思っていました。
しかしこの1年勉強というレールから外れ、周りから1年遅れて必死に元のレールに戻ろうとしている自分を冷静に見た時に、1つ疑問が生まれました。このまま周りの人々が勧めるいい大学⇨いい就職先という道のり(レール)にいくことが自分にとって本当に幸せな道だろうか。そして、癌と診断後あれほど望んでいた4月からの大学院復帰をよく考えた時、大学院入試の際の「大学院に入って研究をし、卒業後も博士課程または就職先で研究を続けたい!」という気持ちも知らず知らずのうちに削がれていることに気がつきました。
「誰かのための研究」と「私の人生」
プロフィールの投稿にもありますが、私は学部では子宮体癌の早期発見の研究をしていました。そして大学院では他の癌の早期発見の研究を行う予定でした。癌と判明した昨年の3月、復学後は自分が癌患者であることを生かして癌についてより深く研究するぞ!という意気込みでしたが、手術部位(右肩)や今後5年間の経過観察のことを考えると、今は自分の好きな人生を生きたいと願うようになっていました。
はっきり言うと、「癌の早期発見のために(誰かのために)人生を捧げること」と、「経過観察の5年間を(自分のために)有意義に過ごすこと」を天秤にかけた時、後者に比重をおいた方がいいのではないかと感じました。長い人生が確約されているならば、前者の方がきっと生きがいのある人生を送れるに違いありません。しかし、リハビリしても右肩の可動域に大きな制限があること、そして未だに患部の痛みが時々あることなどを考慮するとどうしても後者を選びたいと思いました。
家族との対立
1月になり家族と今後のことについて相談した結果、長い長い話し合いの末、退学ではなく4月から1年間休学を延長する(休学は2年までなので最後の休学)という選択をすることにしました。家族は4月から大学院に復帰することが今後の私の人生において一番重要と考えていたので(親の目線で考えると子供が将来自立していけるかがとても心配なのは痛いほどわかります)、私が大学院に復帰しないと言ってからはかなり揉めました。正直、半ば強引に休学で納得(?)させたと言っても過言ではありません、、、。
教授との面談
そして1月中旬教授の元へ向かい、今後の進路について悩んでいること、すでに4月から休学してでもやりたいことが決まっていることを伝えました。教授は「やりたいことをやればいい。もし研究室に戻ってきたくなったらいつでも戻っておいで。いつでも待っていますから。」とおっしゃっていただきました。
癌と発覚してからは実家のある県で治療をしていたので、約1年ぶりに研究室に訪問したついでに、技術補佐員の方々にも今年1年の治療経過と今後の生き方について話したところ、号泣されました、、、。そんなつもりがあって話をしたわけではないのですが、私が淡々と「骨肉腫の5年生存率が約70%であることや抗がん剤の治療成績、他諸々の検査結果も含めて、今後5年間は自分が死ぬ時に後悔しない生き方をしたい」と言ったことに心を痛められたようでした。
自分の命を軽く考えているわけではありません。過去に起こったことはどう足掻いても変えられないので、私はどんなことでも可能な限りポジティブに捉えています。そんなこんなで色々動いているうちに今日を迎えます。
一番言いたかったこと
誰しもいつ死ぬかわからないし、今後何年生きられるかなんて誰にもわかりません。だからこそ、癌を経験し経過観察期間を迎えた私は、いま目の前の5年間を精一杯生きたいと思います。その先のことはまた5年後に考えます。
一般的にこの選択は正しくないことは分かっています。ですが、「大学院に戻り、2年後企業に就職し、定年まで仕事を頑張る」という誰もが目指すであろう一般的な道筋を今の私は思い描くことができなかった。たったそれだけなんです。将来を左右する大切な数年間(大学や大学院)になんで癌になってしまったんだろうと悩み、眠れなかったことなんてザラにありますし、考えても何も変わらない。
それでも今を生きるしかない。
今後の予定
今年1年は自分のやりたい事業のために資格取得の勉学に励むことにしました。結局、やりたいことのためには勉強という道からは逃れられないようです。ブログも勉強の合間に頑張ります。ブログはなかなかモチベが続かないのでコメントもらえるたびにやる気出ています。本当にありがとうございます。
そして私の研究は未来ある若者に託したいと思います。
それではまた近日中(あんまり期待しないで)に。
よければコメントお願いします!!
こんばんは。文章を読んで本当に悩みに悩み決断されたお気持ちは並々ならぬ思いで書かれており、同じ気持ちでいる者にとって、同感の意を感じずにはいられなく、コメントした次第です。5年後10年後30年後60年後、あの時は辛かったけと、楽しい人生だったと絶対思います。
5年10年20年からの60年後、幸せな日々が、こちらを見ています。うまく言えませんが、絶対大丈夫!絶対大丈夫!絶対大丈夫!
私の息子も骨肉腫です。大学生です。
誰かのために…もたいへん素晴らしい事ではありますが、どうかご自分の思いを大切にやりたい事をやってください。
これからも応援しています!
コメントありがとうございます。
私の病院はコロナの影響で整形外科病棟が封鎖され、色々な科で入院していたので、実は同じ病気の方の知り合いがいません。
息子さんも大学生ということで、もしご縁があればお友達になってください。ツイッターのDMやこのサイトのお問い合わせからご連絡いただけると嬉しいです。
コメントありがとうございます!!
基本的にポジティブなので、「なんとかなる」と思いながら生きています。
それでも時々病気のことがチラついたりしますが、うまく付き合いながら生きていきます!
我が家の息子も昨年、右膝下脛部の骨肉腫の治療を、たまさんと同時期におこなっていました。
中学一年生です。
サッカーが何よりも好きだった息子の右足には、今は人工関節が入っています。その姿に勝手に悲観し、せめて車椅子で何かできるスポーツをと提案しましたが、本人には、何で勝手にもう出来ないと決めつけるんだと泣かれてしまいました。
その時に、彼の気持ちを分かったふりして、勝手な親の思いを押し付け、傷つけていたのだと思い知らされました。
親や、周囲の人は善意のつもりで、様々なアドバイスをしてしまいます。もちろん、心から心配してのことです。
けれども、人生は一人ひとりのものであって、他の誰のものでもないんですものね。
たまさんの自分自身の病気や、これからの生き方と向き合い、考えや決意を言葉にされている投稿を拝見し、改めて息子の思いを何より大切にしたいという思いと、子どもの成長を焦らず見守っていきたいという思いにさせられました。
頑張ってなんかいないよ、病気になったからやらなきゃいけなかっただけ、これを頑張るとは言わないと息子は言っています。
けれどもやっぱり母として、誰よりも頑張っていると思わずにはいられません。
その頑張りが、どうかたまさんや、息子の人生において糧になるものでありますようにと願うばかりです。
今を何千、何万と繋げて、長い長い自分なりの道が作られていきますように、応援しています
コメントありがとうございます。
私も20を超えているので親が心配してくれて、色々と気にかけて言ってくれるのはとてもありがたく感じています。自分の子供が不幸にならない選択を、できることなら一般の人と遜色なくと。私がもしこの病気を経験せずに親になっていたら子供に同じような対応をしてしまうと思います。
でも病気を経験して、周りにはわかってもらえないような辛い経験をした今は、自分が親になったとき、あまり口出しはせずに助言程度に留めて、見守ってあげられるのかなと思います。
病気をした方の気持ちは本人にしかわからないし、周りはあくまで言葉で聞いて想像するしかありません。でもきっと息子さんは今後精神的にとても強く、同じような境遇の方に寄り添ってあげられる人に成長していくと思います。
私も質問者様の息子さんも普通の人では味わえない経験をして、その経験はきっと今後の人生において大きく影響を与えるものであるし、また大きな力になると思います。
中学生ならばまだ今後の進路も幅広いと思うので、息子さんにとってこの経験が将来の糧になることを信じて応援しています。ありがとうございました!